本仁戻作品に感じる男×男の可能性

presentedby whiteegg sama



 

本仁戻作品の大きな特徴は、性描写に有るだろう。
飾りやサービスで描かれている訳ではない。

物語の展開の上で、強い意味を持って描かれている。

愛の交歓、スポーツ、上下関係の象徴など、見事に使いわけられている。
人の内側が先に有る、そのやり方ゆえの結果だと、私は思う。

だから人間関係を描こうとする作家さんの多い、やおいの世界にあって、
異彩を放っておられるのだと思う。

人の内側を掘り下げていくやり方は、描き手にとっても、
読み手にとっても楽しいだけでは終わらない。
それを、読者は、きちんと承知している。

それでも、読者を惹きつけてやまない物が、本仁戻作品の中には有る。

それは、男×男、と、いう形を使って表現しようとしている、
リアルを通り越して凝縮された”人”の持つ内面の汚い部分を
見せつけられる事で得られる物と
同じ様に凝縮された綺麗な部分を見せる事で得られる物。

自虐と、救い。

それがその時、その時の読者の状態によって、
くるくる形を変えながらやってくる様に私は感じる。
キティちゃんの表情に通じる物が有る様に思う。

男×男の世界は、エッチを表現するだけでは勿体無い。
その可能性を強く感じさせてくれる作家の一人が、
本仁戻なのだと、私は、思う。

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