「サンビカ」「KILLING MOON」に寄せて

presentedby 本城sama


「サンビカ」

カリスマであるが上の孤独に公爵は苦しんでいたのだと
思いました。公爵と言う名への讃美歌ではなく、自分という
個人に讃えられる特別な誰かの讃美歌を聴きたかったのだろうと
思います。ユリの片目の魔は、公爵の孤独なのだろう。ユリは
公爵様の孤独を刻みつけられた。ユリはそれに応えてくれると
公爵は思ったのだろう。
誰かの、自分一人に歌われる讃美歌が欲しい。皆そう思いながら
日々を過ごし、パートナーを見つけていく。自分の最期にも
そばにいて欲しい。忠誠を誓ってくれる、愛をくれる人に。
皆寂しいのね。私も寂しいんだ、と一人思うのでした。

「KILLING MOON」

文緒が一番浅はかだったんだなぁ、と。自分の浅はかさを最後に
気づいてしまった。浅はかだと言った鞠子と同じように自分も
また浅はかだった。
人間というのは好きな相手には限りない理想を抱く。
こういうあなたが好きだと。そしてそれが実際違うと一気に
冷めていく。あなたは私の求めるあなたじゃないと。
本質を見抜こうとせず、理想で本物を覆い隠す。
私もそうでした。そう言う意味ではすごく痛い作品だと
思いました。
そしてレズビアンの苦悩について描かれた作品を見たのは
この作品が初めてだと思います。
私は、女性は男性よりも子孫を残すことについてはこだわって
いると思うのです。女性は男性と違い、子供とは直接つながって
いるわけですよね。女性にとって子供を産み育てるということは
本能そのものであって、子供を作れないという状況は本能で
避けるのだと思います。だから鞠子の気持ちはわかります。
昔は子供が作れない女は価値のないものと見られていたようですし。
世の、おせっかいなお母さん方は不妊症などで悩み苦しむ女性に
そうと知っていても知らなくても子供はまだ?なんて聞くほどに
子供にこだわる人が多い(年齢層もありますが)。
結婚して子供を産んでこそ幸せという考えはまさしく本能から
くるものなのですね。そういうことも関係しているのかは
わかりませんが、日本はレズビアンの活動がホモセクシャルのそれと
比較すると極めて少ないような・・・。
とにかく、この作品を読んで、人間って誰しも浅はかなのだろうなぁ
と思いました。その浅はかさが愛しいと思えるようになったとき、
その愛は本物かもしれませんし、そうでなければ本質を見抜き、
冷静に判断し、真正面に受け止める人もいるでしょう。
人間の面白さというのはそれぞれに価値観というものが存在する
からなんですね。だから人の意見を聞くと言うことが楽しい。
でもそれぞれの価値観が存在すると言うことは、本当は浅はかな
人間というのは存在しないと思うのですよ。誰かに浅はかだと
言われようとも、その人にとってはその価値観は信頼できる唯一の
考えだと思うから。
 

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